キングダムネタバレ・第660話「次会う日まで」

キングダムネタバレ・第660話「次会う日まで」

二人の過去

「秦将 騰(とう)よ」

什虎軍本陣にて捕らえられた寿胡王(じゅこおう)がゆっくりと語り始めた。

「お前は先程
 儂らには他と違う 何かがあると言った」

「だが それは間違いだ」

「逆に儂らは 何も持っていない」

「全てを失った」

「そして満羽(まんう)と千斗雲(せんとうん)
 あの二人は 失った上に さらに…」

十二年前
満羽は小国「汨(べき)」の大将軍
千斗雲は小国「暦(れき)」大将軍

「汨」「暦」は共に
「楚(そ)」の侵略に抗い続ける
小国の雄であった

四方を楚に取り囲まれながら
両国が落ちなかったのは無論

満羽と
千斗雲がいたからだ

二人は楚軍に勝ち続けた

勝ち続けたが    

楚軍との戦いに勝利した満羽に被害の状況が報告される。

「流邦(るほう)様と中歩(ちゅうほ)様が討ち死に
 死傷者は千人程です」

「…… そうか」

「あっ あれは」

「軍だ…
 あれは暦国の軍だ…」

「千斗雲か…
 奴らも戦っていたのか」

「あいつらも楚軍を追い払ったようだな」

「…… しかし…」

「勝者にしては大分疲れているな…」

「…… ああ」

部下たちの会話を黙って聞いていた満羽が口を開く。

「城に戻るぞ」

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満羽の精神

凱旋した満羽たちは、集まった民衆から喝采を浴びていた。

「満羽様」

「満羽様」

「お疲れ様でした」

「満羽様」

満羽達同様
汨の民も疲弊しきっていた

その中で
満羽は人気があり
汨国の精神の支えであった

そんな中、一人の若者が目を輝かせて満羽に話しかける。

「満羽様
 俺達やっと十五になりました
 戦場に出れます
 次の出陣にぜひとも」

「…… ああ
 頼むぞ 青多(せいた)」

 「コラ青多
 お前はまだ十四だろうが」

「うっ…
 ほっほとんど十五だよ」

しかし 王や大臣達と
満羽ら軍部の間には溝が生まれ
深まっていた

「もはや限界だ 満羽よ」

汨王の袁公(えんこう)がいった。

「儂も 民も この汨はもう
 これ以上楚と戦い続けることはできぬ」

「楚に降ろうと思う」

「王よ ご再考を」

満羽がいった。

「この国が楚に降伏すれば
 一部の有力者を除いて
 ほとんどの者が財を奪われ
 生きることに窮します」

「半年前 楚に降った「圭(けい)」という国では
 民の半分が奴隷になったと」

「半分がです!」

「そんなことは絶対に
 この満羽がさせませぬ」

「…… しかし…」

「王は今のまま続けても
 この汨に先はないとおっしゃっているのだ」

「てっ… 手はあります」

満羽の側近の男が思わず口を挟む。

「同じく奮戦している暦国と手を組み
 共同戦線を敷くのです
 あそこには猛将の千斗雲がいます
 満羽様と千斗雲が組めば楚軍など…」

「ならん!
 暦国と我々は元より仇敵同士
 暦国と同盟するなど 楚に降るより許せぬわ」

「しっ しかし…」

「暦との盟はともかく
 この満羽が楚の暴威は防ぎまする 故に
 楚へ振るという話は ご再考を 王よ」

「…… 満羽…」

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勝利の末に

それでも満羽達は汨国の民のために戦い続けた

そうしたある日

満羽軍が遠地で戦っている間に
汨国は城門を開き楚に降服した    

満羽達は帰る場所を無くした

守るべきものを
……無くした

満羽軍は 投降しなかったため
彷徨いながら 楚軍と戦い続けた

全てを無くして 呆然と戦う満羽は
それでもなお 強かった

何日も

何十日も戦い続けた満羽は
最後に”あるもの”を見た……

「敵の主力は退がりました」

「完勝です 行きましょう」

「…… ああ」

それは

祖国・汨にいた
若者の死体であった

満羽達は知らぬうちに

汨国の人間を含んだ楚軍と
戦っていたのだ

気づかぬうちに
汨国の民だった者達の敵となっており

そして

それを

殲滅していた

満羽は馬の脚が土に沈む程
長くその場を動けなかったという

そして
それまでの満羽が
満羽の中で

確実に死んだ

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満羽の変化

あまりにも救いようがない過去を前に、秦の将たちは言葉を失った。

「時同じくして
 千斗雲も同じような境遇に陥り壊れた」

「しぶとい両国それぞれに
 楚が”離間”の策をしかけたのであろう」

「とにかく二人はそこで楚に降服した」

「儂も玄右(げんう)も似たり寄ったりだ
 国を失い根無し草となり
 軍を率いて彷徨っていた」

「そうしてあの春申君(しゅんしんくん)が
 我ら四人に什虎城を与え
 そこを根城とさせた」

「心は壊れても 戦は強い
 重要拠点をただ守らせるだけなら
 うってつけと思ったのだろう」

「放っておいても
 何をしでかすか分からぬ厄介者でもあったからのォ」

話を聞いていた騰が「それが不落の什虎の正体か」といい、その横に立つ録鳴未(ろくおみ)は「俺らが完勝したがな」と誇らし気に口にした。

しかし寿胡王は「それは満羽に変化が生じたからだ」という。

「儂はこう見えて”荀子(じゅんし)”の下で学んだ儒学者でもある」

「”性悪説”の荀子か」

騰がいった。

「いかにも
 人は生まれながらに 善か 悪か
 かつては ”性善説”と”性悪説”の研究が面白かった」

「だが止めた」

「軍師として戦場に出るようになって
 机上の空想がバカバカしくなったからだ」

「戦いがあり
 勝者があり敗者があり
 無力なる者達の犠牲があり
 そこは善と悪が交錯する」

「それを二分できるはずもなく
 二分する意味もない」

「儂はただこう思う
 人は愚かだと」

「何が言いたい」

騰が尋ねる。

「満羽は
 全てに虚しくなり
 輝いていた奴の心は虚無の底で死んだ
 それを儂は何よりも悲劇だと感じておる」

「そしてその悲劇は
 ただ悲劇のままで終わると思っていたが
 変化が生じた」

「どうやらその変化を生んだのは
 蒙武(もうぶ)お前だ」

「えっ」

黙って話を聞いていた蒙殻(もうき)が驚いた表情で蒙武を見る。

「細かいことは儂にも分からん
 ただ満羽が蒙武に何か通ずるものを感じたのは間違いなかろう」

「……
 そ… そういえば
 満羽は戦いの最中 蒙武様が背負っているものがどうのこうのと…」

何も語らない蒙武に代わり、側近の将が口を開いた。

「…… ……
 ほう……」

「はァ!?何言ってんだお前ら
 この男が満羽みたいな重いもん背負ってると思ってんのか!?」

録鳴未が声を荒げる。

「…… よい
 天が導くなら
 二人はまたいずれ相見えるだろう」

「儂は 満羽に…
 悲劇の先に ”何かある”ことを願うばかりだ」

「人の愚かさの先に ”何かがある”ことをな」

「…… ケッ
 何だこのじじィの話はっ」

「フッ そうだな
 少々 学者気取りがすぎたな」

「さァ もういいぞ 首をはねろ
 満羽のことは語った
 その結末を見届けるのは お前達に任せる」

『キングダム』第660話 / おわり

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※ 本ページの情報は2020年5月時点のものです。

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