キングダムネタバレ・第648話「大王の問題」

キングダムネタバレ・第648話「大王の問題」

河南の地へ

秦(しん)の王都・咸陽(かんよう)では昌文君(しょうぶんくん)と肆氏(りし)が慌てていた。

「大王様を河南(かなん)に行かせるのは危険すぎる。呂不韋(りょふい)が本当に事を起こそうとしているのなら、敵地に飛び込むようなものだぞ」

肆氏がいった。

「分かっておる。とにかくこの朝廷会議の後にご説得せねば」

そういって扉を開けた昌文君だったが、会議の準備はされておらず、一人の文官が掃除をしていた。

「なっ、何だこれは。なぜ会議の準備をしておらぬ!?他の者たちはどうした」

昌文君が尋ねる。

「え…会議は延期すると昨夜大王様から伝達があったはずですが?」

「なっ、何ィ!?」

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大王の問題

河南    

国王と元相国。

互いの信念をぶつけ合った蘄年宮(きねんきゅう)から三年。

青すぎる空の下で。

「これはこれは。お久しゅうございますなァ。大王様」

姿を現した呂不韋がいった。

「少しお顔が疲れておられますか、大王様。
 まァ、無理もない。去年の鄴(ぎょう)攻略は魂魄(こんぱく)をさぞかしすり減らしたことでしょう。それにこれから手をつけねばならぬ邯鄲(かんたん)攻略はそれ以上の難戦となるのは必至ですからのォ」

「お前は変わってないな。呂不韋」

ここまで呂不韋の話を黙って聞いていた政がようやく口を開く。

「変わっていない目をしている。あの時と同じ    

「蘄年宮で俺に”負けを認めたまま”の目をしている」

「……本当に、そうですかな?」

「ああ。俺はその目を確かめるために足を運んだ」

政の言葉に笑みを浮かべる呂不韋。

「……相変わらず豪胆なお方だ。大王がここに居ると他に知れるだけで命が危ういというのに」

「別に一人で来たわけではない。強力な護衛を連れて来ている。ただ思った通り、それも必要なかったようだ。」

「ハッハ、そんなに私を信頼して下さっていたとは」

「呂不韋。下らぬ化かし合いはもういい。なぜこんなことになっている?河南のこの動きを咸陽が見逃さぬことはお前も分かっていたはずだ。この大事な時に内乱など有り得ぬ。今すぐお前の命を断てという声すら上がっているのだぞ」

「ほーそれは恐ろしい。はっは、その苛烈さ肆氏あたりですかな?」

「早急に河南(ここ)の不穏の徒を抑え込め。そうせねば…」

「随分と簡単におっしゃる」

「何?」

「私が大人しくせいと言えばそれで鎮まるとお思いなら大間違いだ。咸陽は私が連中をたきつけていると思っているかも知れぬが、逆にこれでも随分と押さえているところだ。それでも人が人を呼び、そして秘めたる怨念を返す時のための準備をしている。終わったと思っても終わってない。”かつての内乱の平定ですら”思う以上に難しいということです。これが”中華”となれば、やはり想像を絶しますぞ」

「今はこの河南の話をしに来ている。ここはお前の城だ。お前が平定しろ」

「連中に大王様に忠を誓えと強要を?はっは、ご冗談を。そこまでする義理はありませんなァ」

「呂不韋。さもなくば我々はお前を…」

「大王様」

「一つ教えておいて差し上げよう。性懲りもなく反乱の徒が湧いて集まる原因は私にではなく…」

「あなたに問題があるのです。大王」

「何?」

「はっきり言って肆氏の方が正しい。私に会おうと誘い出して刺客を送ればよかったのです。もっと言うならば嫪毐(ろうあい)反乱の時、どうせ反乱の徒の”依り代”となるであろう私のことを死刑にすべきだった。あなたは優しすぎるのです。大王」

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呂不韋と嬴政

その後、しばらく黙ったまま互いの目を見る政と呂不韋。

そして呂不韋が続ける。

「フッ、しかし…まーそんな大王であるからこそ勝者として今この私の前にいらっしゃるのですが」

そういって笑う呂不韋。

「しかし、本当に覚えておいて下され。その優しさは大王様の武器でもあるが、”先々、唯一の弱点と成り得ますぞ”」

「夢々お忘れにならぬように。これが呂不韋の最初で最後の進言です。」

呂不韋の”最後”という言葉に引っかかる政だったが、呂不韋は実はずっと気になっていることがあると、さらに話しを続ける。

「嫪毐反乱の折、蘄年宮での二人の舌戦。あれは…あれは本当に私の負けだったのでしょうか?よくよく考えるとやはり私の言ったことの方が正しいと思うのですが」

黙って呂不韋の話を聞き続ける政。

「…もし、そうでなく大王の方が正しいと言うのなら、それを証明するには中華統一をし、本当に争いのない世界、これを作ることです。その時初めて私の負けが確定いたします」

「分かっている」

「今も、人の正体は”光”だと信じていますか?」

「勿論だ」

「そうですか……では、心からご武運を祈っております」

そういって呂不韋が政を抱きしる。

その行動に驚く政が呂不韋の名前を呼びかけた時    

その言葉を遮るように呂不韋は「もうお帰り下さい」と告げる。

「河南は私が責任を持って鎮めます故。
 ……私はこの河南の外に出れば死罪となるため叶いませんが、惜しむらくはあなた様の中華統一の様を、そして作られるであろう新世界をこの両の目で見て回りたかった。
 ………………ハッハ、致し方ない。では大王様、失礼致します」

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突然の訃報

しかし政が咸陽に戻り、ひと月経っても呂不韋は行動をせず河南の不穏な勢力は拡大する一方であった。

見過ごせなくなった咸陽は、呂不韋から封地「河南」とその財全てを取り上げる決定を下し、その命を呂不韋に送った。

呂不韋が拒否すれば軍を動かす流れとなる。

つまり内戦である。

しかし    

河南から来た伝令の話した言葉は……

皆の”予期せぬもの”であった。

十二年、文信候不韋死。竊葬。

「始皇12年(紀元前235年)呂不韋が死に、ひそかに葬られた。」

「史記本紀(しきほんぎ)」より    

「史記呂不韋列伝」の方には、鴆(ちん)毒という毒を飲んで自殺したと記されている    

その場にいる誰もがその報せに呆然とする中、俯いた政がつぶやく。

「呂不韋……」

その頃、一つの馬車が雪が降り積もる中を走っていた。

「外に出るのに何とも大がかりなことをされましたねェ」

「ただの外出ではない。そなたらと放浪の旅だ。あのくらいせねば何かと面倒であろうが」

「でも死体が別人とすぐ分かるのでは?」

「ばれるぐらいでよい。大王は分かって下さる」

「本当かしら?クスッ」

「これからどうするのですか?」

「んー?中華中を旅して、大王のお手並を拝見してやろうかのォ」

「えー何かつまらなそう」

「私達貧乏は嫌ですー」

「ハッハッハ、貧乏もたまにはよいぞォ」

「嫌ですー」

他国に生まれ、商人の身から相国にまで上り詰めた傑物。その流浪の路は、永遠に続く    

『キングダム』第648話 / おわり

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※ 本ページの情報は2020年5月時点のものです。

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